Little One

Little One

アニメーション|2022

今村 実希登

京都精華大学

エンターテインメント部門 SILVER

ENTERTAINMENT DIVISION SILVER

自分自身は考え方や好み・セクシャリティなど色々なことでマイノリティ側であることが多いと感じながら日々を過ごしている。そういった気づかれない存在や気持ちなどに対して、辛さや痛みを分かち合えるようなアニメーションを作るというコンセプトで制作した。そんな自分に優しく寄り添おうとしてくれる作品よりも、ありのままの痛みを伝えてくれる作品の方がかえって落ち着くので、手作り感や温かみのあるアニメーションを使いすんなりと心で飲み込みやすい痛みを作れるよう目指した。アニメのように何でもハッピーエンドにはならないが、その辛さや痛みを感じている人はたくさんいてお互いに分かちあうことで、毎日を少し楽に過ごすことは出来るんだと思う。

審査員コメント

  • まずは、コマ撮り風の世界観をリアルに再現したCGの技術力に驚かされました。どれもが高い水準にあり、特にレイアウトやライティング、質感、色彩設計は素晴らしく、どのカットを切り出しても絵になると思いました。それだけでなく、短い尺の中でも、各キャラクターの情感が豊かに表現されていることも驚きました。彼らが持つバックグラウンドが仔細に想像できるほど、丁寧に構築されており、この作品世界自体が印象深く、もう少し長くこの世界のストーりーを見たいと思わされました。それ故に、個人的に惜しむらくは、最後悲しんだ人形が窓から飛び降りてしまうことが、このストーリーを小さくまとめてしまったように思える点です。尺的にも短いだけに、例えば人形の心情を想像に委ねるような形に収めた方が、よりこの作品のスケールを広くできたように思いました。

    大塚 康弘 ディレクター/株式会社デジタル・フロンティア
  • キャラクター造形に作りこみも含めこだわりを感じ、どのキャラクターも魅力的でした。
    また、色合いも含め世界観もよく表現されていて優しい雰囲気で、手間もかなりかかったのではと思います。
    制作者本人が苦労したとおっしゃっていたアニメーションですが、ストップモーション的な要素も含めてクオリティが高くとても話もまとまっていたと思います。
    人形の女の子の気持ちも理解しつつ、それでも切ない作品でした。

    笹原 晋也 株式会社アニマ 代表取締役