XRAYHEAD

XRAYHEAD

インタラクティブアート|2022

今井 健人 茅野 遥佳, 小鷹 研理

名古屋市立大学大学院

XRAYHEADは、展示者の手がまるで体験者の半透明な頭部の表面に侵入し、直接的に頭蓋骨を触られているような体験を可能とするインタラクション作品である。具体的には、模型に組み込まれたセンサーと手の距離に相関した調光システムにより、体験者の顔と模型、展示者の両手が各々シームレスに置き換わる。加えて、体験者の頭部と模型に同期した物理的接触を、光量レベルに同期した骨伝導イヤホンによる聴覚刺激を体験者に与えることで、従来のペッパーゴーストなどのハーフミラーの特性を利用した断片的な対象物の切り替えとは異なる新たな表現に辿りついた。漫画や映像などの視覚文化(非現実)でも一般的に扱われていることから分かるように、身体の透明表現は心理的に受け入れられやすい。このことから、現実空間で身体の透明化を錯覚させる本作品は、エンターテインメント分野はもちろん、医療や教育等の周辺領域に強い波及効果が期待できる。

審査員コメント

  • 私たちのほとんどは、視覚や触覚などの五感は相互に分離されたものだと思っている。しかし、ハーフミラー映った鑑賞者の顔に頭蓋骨を透過させ、さも頭蓋を触られているかのように錯覚させるこの作品が示しているのは、私たちの感覚が相互に絡みあっており、最も実在的におもえる触覚さえも、視覚といったその他の感覚によって変容せしめられてしまうという事実である。

    永田 康祐 アーティスト