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アニメーション|2022

MARU AKARI

武蔵野美術大学

作者Webサイト https://twitter.com/ara_itao

毎日夜になると、虚しい気分に溺れてしまう1人の女性。自分の存在を誰かに見つけて欲しくて、SNSで声を発信し続ける。SNSは彼女にとって、寂しい時に誰かといつでも繋がれる場所だった。自分の孤独を癒すために集めたぬいぐるみや植物収集の趣味があっても、”誰かに必要とされたい”気持ちはどうしようもなかった。 __自分以外の人は必要とされているように感じる、埋められない心の隙間がある、寂しい、誰かと繋がりたい。そうした思いを抱く人たちの”漠然とした孤独感”の内訳を探り、アニメーションで表現することで、できる限り他者の思考や感情に寄り添うことができないだろうか。問題を解決させる方向や一般論に持っていくことはせず、私自身が感じた個人の感覚として他者の抱える生きづらさを見つめていきたい。 制作の背景には、実在する女性たちの声がある。絶望の渦中にいる女性たち、そんな女性たちのことを想う存在、両者の声をヒアリングしている。印象的な言葉の数々を断片的に書き残している。彼女たちに共感してもらえる映像になっていれば幸いだ。

審査員コメント

  • 柔らかな線で描かれ、暗闇の中でそっと光る、そんな作品の世界観が美しく感じました。若い人の誰もが抱えるような孤独感を、自分の心の中の小さな島に行くと、自分の好きなもの達がやさしく受け入れ抱きしめてくれる。しかし、最後にはその島を離れ、孤独を癒すための何かへの依存から脱却していこうとしている姿が伺え、自己憐憫で終わらず希望を感じられて良かったです。

    大塚 康弘 ディレクター/株式会社デジタル・フロンティア
  • 人と人との繋がりの希薄さにより、SNSによるつながりの重要性が増している今の時代をテーマに描かれたアニメーション作品。タイトルは「#_」という記号の組み合わせだが、ハッシュタグは人と繋がりを持つための記号であり、アンダーバーは、ここでは文字入力のカーソル位置を表す記号と考えられ、入力するキーワードを迷っている状態にも見えます。誰かと繋がりたいけれども、どういう言葉で発信したら良いか迷っている、孤独から抜け出したい主人公の心情を象徴したタイトルだと想像しました。主人公は、家庭環境に問題があり、愛情を十分に受けずに育った20代の複数の女性をモデルとしているとの事で、日々の孤独感や不安の中でたくさんのぬいぐるみやスイーツに救いを求めながらも、最後には自力で無人島を何とか抜け出すという希望を感じる結末は、作者自身の願いでもあるように感じました。

    村上 寛光 アニメーションディレクター/プロデューサー/株式会社フリッカ代表