Parallel Ping-Pong: Exploring Parallel Embodiment through Multiple Bodies by a Single User

Parallel Ping-Pong: Exploring Parallel Embodiment through Multiple Bodies by a Single User

インスタレーション|2022

高田 一真 川口 碧, 上原 皓, 中西 侑紀也, Mark Armstrong, Adrien Verhulst, 橋本 健, 南澤 孝太, 笠原 俊一

沖縄科学技術大学院大学/株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所

Parallel Ping-Pongは,1人のユーザが複数環境で同時にインタラクションする「分身体験」の実現をコンセプトに開発されたシステムである.これまでに,足で操作する機械の3本目の腕や,バーチャルリアリティでユーザと同じ動きをする複製された複数のアバターを用いる手法が開発されている.しかし,身体が拡張された一方で,これらのデバイスやアバターでは単一の環境でのみインタラクションであった.本作品では,1人のユーザが2人の相手を同時に把握しながら,操作するロボットアームを高速に切り替えて球を打ち返すことで,実質的な分身体験を提供している.球の位置を基準にユーザの見る環境が自動的に切り替わり,切り替え後にはユーザが気づかない程度にコンピュータが打ち返しを補佐することで,ユーザ体験を構築している.コンピュータによる分身体験を通じて,我々の物理的な身体限界を超え,デジタルな身体による新たなエンターテイメントの創発を目指す.本プロジェクトは,株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の笠原俊一研究員の監督下で製作された.

審査員コメント

  • ふたつのロボットアームをひとりの人間が操作できるという一見した特徴に反して、この作品の中核は、深度センサーによってボールの軌道を予測し、ロボットアームのスイングを制御するというプロセスを、いかに鑑賞者が本人の意思で返球しているように感覚させるかというところにある。異なる身体の保持感をスムースに切り替えながら鑑賞者に与えるこの作品では、行為主体の行為への関与の度合いが巧妙にコントロールされているのである。

    永田 康祐 アーティスト