肖像A

肖像A

パフォーマンス|2021

奥田 葉月 児玉 大樹, 鈴木 大智 , 小池 亮介

東京大学大学院

東京大学制作展という展示に向けて制作した作品である。作品内でも言及されているように、制作展に向けて友 人にインタビューを敢行しているという設定のモキュメンタリーの形式をとっている。 鍵になっている技術であるモーションキャプチャは、通常CGキャラクターの動きを現実の身体運動から作成するために用いられ、アバ ターとモーションは相補的にキャラクターの存在感を形成する。そしてそこではスーツアクター自身の存在は疎外されている。本作は、一人の人間を多様な容姿で表現することと現実世界への言及を通して、アバターとアクターの不一致を明示しながら、抜け殻として不可視化されたスーツアクターの存在感を観客の想像力を以て再構築することを目指した作品である。 モチーフとして取り上げた「肖像」という語は人物の視覚的な表象を表すが、ここでは人物の視覚表現を通して非視覚的な表象を構築する。

審査員コメント

  • 3Dスキャンされた複数の身体にひとつのモーションデータと声を割り当てるこの作品が示すのは、ヴァーチャル空間における身体と身振りの乖離だ。一見すると、作品は身体がVRゲームにおけるアバターのように交換可能であることを示しているように思える。しかし、再生された生身の声とモーションデータに操られた不格好な身体の対比は、作品に示された身振りとそれを演じただろう身体との隔絶を確かに標しづけている。

    永田 康祐 アーティスト