下校

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アニメーション|2021

ajisa Wataru Iwata

金沢美術工芸大学

エンターテインメント部門 PLATINUM

ENTERTAINMENT DIVISION PLATINUM

私はいつも同じ道を通って帰宅する。しかし、些細なきっかけから寄り道をすると、新たな発見、気付きがありいつも刺激を受ける。一本違う道を歩くだけでありふれた日常がゆらぎ、違う世界が現れる。 その境界はとても繊細で、今は非日常でもそれがいつか日常になるかもしれない。もちろんその逆も。この境界の行き来する感覚をこの作品に込めた。

審査員コメント

  • 描画の一枚一枚が絵画のような品質で、視点切り替えも美しい。動きも丁寧に作り込まれており、さぞ夥しい量の手描きが行われているのだろう……と思っていたら、なんと映像の制作プロセスにおいて3DモデルとAIが活用されていたことに驚いた。制作手法が非常に洗練されモダンにアップデートされていることにより、結果として奇抜な演出をせずとも、誰も見たことのない斬新なアニメーションになっている。今後のキャリアが楽しみでしかない、気鋭の映像作家。

    市原 えつこ メディアアーティスト/妄想インベンター
  • いろんな手法のハイブリッドによる、いま最先端のトーンですね。テクノロジーを使いこなした上で、全体としてぬくもりのある手作りアニメーション風味に仕上げているのがスバラシイです。こってり厚く塗られた感じの画風は、ご本人が油画専攻だから?か。日本発のアニメーション作品ではまだ希少な部類のトーンで新鮮です。
    作者自身のホームである地元金沢を美しく切り取り、瑞々しく描いている目線も高評価ポイントです。

    真壁 成尚 ディレクター/WOW株式会社
  • 数ある作品群の中で、まず惹きつけられた。
    社会状況が反映されたか、時代の空気か、絵画表現的なアニメーションの応募が多かった今回。
    その中で様々なアプローチが見て取れる画面構成に目を見張った。
    さらに絵筆の筆致を思わせるルックの瑞々しさ、レイアウトに対する並々ならぬこだわりも感じる。
    その技巧主義のなかにも感じさせるナラティブな表現が鑑賞者の心を奪うのだろう。
    新しいチャレンジに満ちた作品だったと改めて思う。

    小林 浩康 CGアニメ監督・デザイナー/株式会社カラー/株式会社プロジェクトスタジオQ