Radio Town

アニメーション|2020

松田 啓子

東京造形大学

ENTERTAINMENT DIVISION SILVER

コンセプトと呼べるほどのものは作品に織り込めていないけれど、漠然と軸には”時間”があった。時間が進んで欲しくない日、止まってほしい瞬間は何回もある。けれど現状人類は流れ続ける時間に干渉する術を持たず、諦める他ない。それが嫌だなと思う。この作品を作っている時も当然に時間に押され、迫る期限を避けきれず、取りこぼしたものを取りにいけないのが嫌だった。しかし時が進んでしまう事実についてはどうしようもない、そう言って進む以外の選択肢はない。そういう嫌だを思い続けてる作品である。

審査員コメント

  • シンクロニシティ的な潮流だろうか、こむぎこ2000氏の作品を彷彿とさせるトーン。すぐにメジャーでやっていけそう。
    この作者も、少ない線の情報量で、光や色の扱い方がうまい。巧みにレイアウトし、絵の魅力で構築していくチカラがある。 音も、絵の情報量と良いバランスで釣り合っていた。

    絵に自信があるからか、静止画状態が長いカットがいくつかあって、そこがちょっとダレたのはおしい。(たとえば、雲とかうっすら流れてても良かったかな?と思える状況カットが。室内カットでもちょっとした、何かゆれる影の変化とかあれば、まったりした時間経過がより伝わってきたかと)でも、指摘があるとすればそれくらい。 何も解決しないまま朝が来るのも、すごく今の気分が感じられて良かった。ムリにイイ話というか、万人が腑に落ちるストーリーとして着地させなかったトコロは大いに評価したい。

    真壁 成尚 ディレクター/WOW株式会社
  • この作品に出会った観客で、雰囲気が良い、好きだと言う人は多いだろう。作品としてのまとまりが良いと感じられるのは、作者が本当にバランスを取るのがうまいからだ。画面全体を占めるペールトーンとビビッドな差し色によるカラーデザイン、すこしづつ異世界を感じさせるように混ぜられたディテール、静止したレイアウトを積み重ねて表現された時間経過と、極端な起伏を持たせずに語られていく物語そのものも、とても効果的に構成されている。それ故に、その絶妙なバランスのすべての要素をさらにもう一段上げて欲しくなり、作品のレベルがグッと上がることにも期待してしまう。ただ、そう思うくらいに、この作品がしっかりと調整されたものであるのは間違いないのだと思う。

    小林 浩康 CGアニメ監督・デザイナー/株式会社カラー/株式会社プロジェクトスタジオQ