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インスタレーション|2020

タジマ スズリ

多摩美術大学

外的要因によりテンプレ化された可愛いのイメージと生まれ持った身体をテーマにコラージュ写真を制作。アイドルとは本来「手の届かない存在」であったが、近年では「会える」「話せる」が当たり前になり、プライベートとの境界が曖昧になっていると感じる。誰もが誰かにとってのアイドル=偶像になりうる現代では、可愛い偶像のテンプレートに自らを当てはめるようなメイクをしたり整形を繰り返したり身体改造に近いことをし、可愛いのイメージと自分の生まれ持った身体のギャップをうめることに過剰に執着する女の子もいたりする。ギャップを埋めるその行為を楽しめている女の子もいれば苦しんでいる女の子もいて、執着すること自体良いとも悪いとも断言できないが、 「可愛さ」との距離が激しく変容する時代で、改めて考え直す必要があるのではないかと思って制作した。

審査員コメント

  • 粗密のバランスや色使いなど、作品としての完成度が高い。膨大な情報の中から様々な手段で自分の見た目を作り上げる楽しさや辛さみたいなものがこの作品から滲み出ている感じがした。安全ピンでつなぎ合わせているところなんかも尖った風刺っぽさみたいなものが有っていいと思う。可愛さのリサーチという目的を持ってメイド喫茶で1年も働いた執念も興味深い。

    井口 晃慶 クリエイティブ部 グループマネージャー/KLab
  • 絶妙に不安感を煽るビジュアル、インスタレーションの展開の仕方、作家の人生観がそのまま滲み出るようなジャンルに縛られない作風が良い。完璧な美を求められる現代の特殊なメディア環境の中で同世代の女性たちが持つ身体イメージや強迫観念を端的に表象するような作品だが、その賛否・善悪を軽々しくジャッジしたり安易にグロテスクな作風にしない所にも、作者の表現者としてのバランス感覚や、同じ時代を生きる女性たちへのリスペクトを感じた。

    市原 えつこ メディアアーティスト/妄想インベンター