キャッチアンドリリース

インスタレーション|2020

臼井 達也

多摩美術大学大学院

本作ではインターネット上に放流され次々と繁殖するミーム動画を素材とした映像作品を制作し、複数の液晶ディスプレイに映し構成している。そこに映る映像作品は単なる映像ではなく液晶ディスプレイの画面がアクリル板やガラスのように物理的な存在として扱われるような構成になっており、スマートフォンの流通によって芽生えた「画面は水面のような境界面として機能し、触れることのできるもの」という鑑賞者の思考を増幅させる。ディスプレイの画面を水面のような境界として扱い、ダウンロードアップロードという一連の行為を釣りにおいてのキャッチアンドリリースに見立てることで、そこにミーム動画による一つの生態系のサイクルが存在するように感じさせる。ディスプレイの画面を通して生まれる生態サイクルを観測することにより、日々スマートフォンやタブレットといった液晶ディスプレイの中に広がる広大な世界を覗く私たちの眼差しの先を探求する。

審査員コメント

  • ディスプレイへの洞察がさらに進化。学生の作品ながら既に玄人の佇まいが漂っており、インターネットミームの選択のセンスも腹立たしいほど良い。インターネットにおいて日夜生成され、循環していく膨大なイメージを生態系に見立てる着想で表現や作家性も確立できており、ポストメディアアート/インターネットアートの旗手を担っていくことが期待される。

    市原 えつこ メディアアーティスト/妄想インベンター