Aseptic Kiss

彫刻|2020

花形 槙

多摩美術大学大学院

作者Webサイト https://shinhanagata.com/

今私たちは、空間を共有すること、皮膚や粘膜を接触することができなくなった世界を生きている。現実世界で常に覆い隠され、マスクに切り取られてしまった口元たちは、人知れずマスクの裏側から通じるこの亜空間へとやってくる。ここは、完全なる無菌の空間。自由を得た口元たちは濃厚な”接触”を求め合う。だがそれも、ゲームエンジンの衝突計算によって導かれた、仮想の”接触”なのだ。そして、たくさんの口元が寄り集まった全体として、一つのキネティックな彫刻となる。この様は、デジタル化され、全てが隔離される世界において、私たちを存在させる身体が意味を失いゆくことへの、哀しき反動にも見えてくる。