眠るための装置

アニメーション|2019

小林 颯

東京藝術大学大学院

あのくらいの位置で、あのくらいの大きさで、あのくらいの動きで、今日もアニメーションは起きて眠る。「起きて、起きて」の声で、小型プロジェクターを載せた装置が前後左右に動き出し、アニメーションは起きる。人が泳ぐシーンでは、装置自体が回転し、アニメーションが壁を沿って泳ぐ。アニメーション単体ではなく、アニメーションそのものを動かすことで生じる映像のリアリティを考察する。江戸の写し絵や幻燈にヒントを得て、アニメーション自体の移動やおぼろげなマッピングによって、画面のフレームを超えた、その場限りの個人的な短編アニメーションを上演する。

審査員コメント

  • 画面の中だけではなく、空間全体を映像のフレームと捉えて、装置の動きも込みでアニメーションを成立させており、男女のナレーションが、フレームレートや動かし方、遠近についてなど、アニメーションにおけるプリミティブなトピックについて語る、自己言及的で興味深い作品。ヘッドマウントディスプレイのような視覚を半ば強引に奪うような装置によるスペクタクルなアプローチではなく、素朴なテイストのロトスコープアニメーションを、更にフィジカルにアニメーションさせることで、アニメーションを空間的に拡張していこうという、オルタナティブな可能性を探る姿勢にも好感が持てる。画面としてのフレームを飛び越えつつも、形式としてのフレームについて、強く考えさせられた。

    やんツー 美術家