OUTER SPACE

インタラクティブアート|2019

cha-bow

多摩美術大学

TPS(三人称視点)は誰の視点なのか不明瞭なままビデオゲームに存在する。視点/カメラにおける動きは『視点/カメラ』と表記しているように異なる2つを同じものとして存在させる。TPSでのカメラはチルトやパンといった目では作れない動きを作り出し、レンズに直接飛沫が飛んでくる表現が見られゲーム内のカメラを『視点』としてではなく『カメラ』として定義しているように見える。私たちが見ている視点ではなく、その間にカメラが挟み込まれているのだ。視点とカメラが同時に存在しているこの現象を、CCDカメラを実際にモニターの前に置くことで顕在化させる。ゲーム内と同期して動くCCDカメラは現実の空間の中で、重さや剛性を持ち、物理法則に従う存在となり、ゲーム内で存在するカメラとの差を生じさせる。視点とカメラの奇妙なズレを誇張することでその現象を浮き彫りにするのが本作である。

審査員コメント

  • ビデオゲームにおける視点の人称性だけを取り出し提示した無目的なゲーム作品。自身が操作するアバターが見えてるほうが感情移入しやすく、ゲームに没入できるという理由でTPSが好まれるようだが、よくよく考えてみると、作者が説明するようにアバターとプレイヤー間には「カメラ」が挟み込まれているわけで、プレイヤーが憑依してるのは実質カメラであり、アバターではないのだ。そのことを「浮き彫り」にするためにわざわざそのゲーム内のカメラを実空間に引っ張り出し、重力や摩擦などの物理法則に従わせ動かすことで、ゲーム空間では生じなかったディレイや動きのぎこちなさを伴わせる。その冗長性とユーモア、そして見過ごされていた機能に改めて着目し言及する作者の批評的眼差しに共感し、評価した。

    やんツー 美術家