ルーシドボーズ

インスタレーション|2019

臼井 達也

多摩美術大学

私たちは普段の生活の上で様々なメディアを通し、多様な映像を目にする。テレビを見る、ゲームをする、Youtubeをみる。そのとき私たちの鑑賞の対象となるのはテレビやビデオゲーム本体ではなく、無論メディアの画面に映っているテレビ番組やゲームの映像である。しかし私は、そうして映像を鑑賞する際にそこにあるはずの液晶画面と言う透明な板の存在が抜け落ちていることに違和感を覚えた。また、その透明の板は、鑑賞者も触ることができるという確かな物質性を持ったものでもある。そこで私は画面の中から画面にアプローチするもの(サイン)、画面の外から画面にアプローチするもの(冷蔵庫)、それを壊すことで逆説的に画面の存在を見せるもの(グリッチ、水滴)という3つの映像を用いてインスタレーション空間を組むことで液晶ディスプレイにおける画面という透明な板の存在について考察し表現した。

審査員コメント

  • 「Stone hits in the display」に続き、再び表現における支持体としてのディスプレイそのものに対する言及であるが、今度はフォンタナの参照から離れ、より多角的な検証が行われ、作品としての独自性が色濃い。透明な板の内側から、外側から、そして板そのものに対する3方向からの認知を揺さぶるアプローチは巧みで、「自明」なはずだが不可視な存在として見えてこない「境界」に対する鑑賞者の意識をコントロールする。メディア・アーキオロジー的長い時間の尺で考え、現在のメディアに対して執拗なまでに検証を繰り返すことは、テクノロジーが進化して、いずれ透明な板が膜になり、やがて境界自体が消失するディスプレイの未来を推測すると、より重要な営みになるだろう。

    やんツー 美術家