うめぼしパトロール

アニメーション|2019

ささき えり

東京藝術大学

作者Webサイト https://sasakieri.com/

何も起こらないささやかな日常の中の小さな面白さは、視覚的なアニメーションとしてみせる時には難しく、なかなか挑戦できずにいました。そこでモチーフを動かすことに注目するよりも、視覚を動かすことに挑戦しました。ワンカットで実際に散歩に没入するようなカメラワークを取り入れました。街を歩いている時に、自分は歩く目として街を観察し、街は私のことをみていると思い、カメラの位置も沢山変わります。出てくるモチーフは、今まで何年間に渡り実際に見てきた物で構成しています。タイトルは、うめぼしという実際には出てきてないものを使っていますが、これはこの散歩のスローガンみたいなものです。うめぼしのようなパトロール。しょぼくて素朴なでも味わい深い散歩という意味です。何も起こらなくても楽しくて風通しの良い作品を目指しました。子供にも大人にも、日常のなかの小さな面白さをぜひ主人公の女の子と一緒に見つけて欲しいです。

審査員コメント

  • 朝、目を覚ますと、花瓶の花は枯れ、部屋には虫が飛んでいる。枯れた花をゴミ箱に捨てて外へ出ると、空にはヘリコプターが飛び、散歩している犬同士が吠え合い、路上にはなぜか長ネギが落ちている。

    風に飛ばされるレジ袋、フラフープを回し続ける散髪屋の店主、昼間からベンチで寝る中年男性、交通渋滞、怒鳴りあう人々、トンネルに張った蜘蛛の巣、延々と続くアリの行列、アイスを落として泣く子供、それを舐める犬…。

    このように文字に起こすと、不気味で悲しい世界のように思えますが、全編ワンカットで描かれたこの短いアニメーション作品を見ると、印象は真逆なものとなります。ユーモアに満ち、カラフルで優しく、可愛らしいこの世界に、自分も住んでみたいとすら思えるのです。

    こんな風に世界を見つめることが出来たら素敵だな、この人の目を通して見た世界をもっと見てみたいな、そう思える作品でした。

    大山 慶 プロデューサー/株式会社カーフ代表取締役