どうかお達者で

アニメーション|2019

渭原 百藻

多摩美術大学

ART DIVISION SILVER

ENTERTAINMENT DIVISION SILVER

物事を受け止める際に一定の癖があります。今まで沢山の敵を作り、告白したところで私の生き辛さは両親から避難されました。しかし語彙力が高いと言われている人には、全くもって性格の良さそうな人がいないと思いました。むしろ触れづらい内容や表現を取り扱うちょっと厄介そうな奴であり、彼らは厭世をユーモアでコーティングして、笑いを誘う高度なテクニックを持っています。皮肉屋は身内からでさえも疎まれる存在ですが、ウィットには皮肉が不可欠であること。しかしそれを兼ね備えた人こそ、この世は生き辛いこと。生まれてから長く感じている厭世を、明確なユーモアである会話劇に落とし込みました。素直な人だけが重宝される社会の渦中、痛みに耐える同士が、この映像を見たことで心のうちに反旗を翻し達者で生きてくれればこんなに嬉しいことはないと、このようなタイトルにしました。これは私からの、皮肉屋への餞であり控えめなプロパガンダ。

審査員コメント

  • このアニメーションはメッセージを伝える、新しい表現だ。台詞、声優、音響、アニメーション、編集まで総合的にコントロールされた作品である。 というよりも新しいものの見方をかなりドップリ見せてくれる。 音楽も、お笑いの表現も、シナリオも、流れもそれぞれが十分楽しめるのはどうしてだろう? 新しい表現でしっかりとメッセージをウケ取れるのは何故だろう。年末のテレビ番組「M1」の漫才コンテストを観て、面白さがこの作品に重なる。今という時代を考え、メディアを超えて畳み込まれる作者のジャーナリズム精神に共感する。若い人を信じようと思う。

    陣内 利博 武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 教授
  • 画の密度、スタイル、リズム的にも完成度が高く、ひねくれ具合も相まって強固なアニメーションとして結実している。
    趣向性を想起させる尖った表現の連続だが、独りよがりにならずに鑑賞者に対するギフトも作品内にきちんと内包されているのも愛らしい。
    作品がエンターテインメントとしてしっかりと立脚しているから、この存在感に繋がっているのだと思う。
    一定の作家性を持った商業作品の制作者として立ち現れて欲しいと期待しています。

    小林 浩康 CGアニメ監督・デザイナー/株式会社カラー/株式会社プロジェクトスタジオQ