Arque

インタラクティブアート|2019

鍋島 純一 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科Embodied Media Project

慶應義塾大学大学院

Arqueは「平衡感覚能力を補綴する拡張身体としての人工尾」というコンセプトで作られた人間のための尻尾デバイスである。私たち、人間の祖先は自然環境に適応するように進化をしてきた。現在の人間の体には進化の過程で役割を失って退化した器官の名残がいくつも存在する。その内の一つが尻尾である。多くの脊椎動物が共通して持つ尻尾という器官は、その尻尾を持つ動物により多岐にわたる。だが一方で、尻尾により重心位置を調整することで平衡能力を向上するという役割は共通して備わっている。人間が拡張身体として尻尾を生やし、平衡維持能力を高めることができれば、身体感覚/活動にどのような変容が起きるのだろうか。この作品では人工尾を義手や義足のような人工装具として位置付け、人間の新しい身体のカタチとして提案する。

審査員コメント

  • アイデアも見た目も面白いですね。
    実はこのCG-ARTS審査に応募されるより以前から、この作品には関心をもっておりました。
    自律二足歩行ロボット用のバランスアシスト装置としても役立ちそう。(見た目もカワイイし)
    宇宙遊泳の姿勢制御用としてもひょっとしたら可能性ありそうですね。
    完全防水にしてヒトに取り付け、ウミイグアナみたいな、あたらしい泳法も生み出せないかしら? 等々、
    いろいろ可能性が連鎖して広がるのは、よいアイデアな証拠だと思います。
    さらなる発展とご活躍、期待しております。

    真壁 成尚 ディレクター/WOW株式会社
  • これ、かなりカッコいいと思いました。タツノオトシゴからヒントを得ているデザインもなかなか凝っています。
    実際に使えるようにするためにはまだまだかなりの改良が各所に必要そうですが、完成した状態を想像するとますますカッコよくなりそうで楽しみです。

    井口 晃慶 クリエイティブ部 グループマネージャー/KLab
  • 身体拡張系技術として、完成度の高さを評価した作品。すでに実装可能なレベルまで到達しているのであれば、科学館やエンタメ系施設でもアトラクションとして人気を博すかもしれない。ただアート部門の評価としてはコンセプトに弱く、人間のバランス感覚の欠如をサポートするというテーマだけでは面白みに欠ける。なぜヒトから尻尾が失われたのかといった生物進化のプロセスや、ヒトと動物が交わる幻想文学など、さらに奥行きを増すコンセプトを構築してほしい。

    塚田 有那 編集者/キュレーター