月面枯山水

宇宙計画・造園設計・ スペキュラティブデザイン|2019

黒石 閑 KUROISHI Lab.

多摩美術大学

PARTNER AWARD

この設計は月面上にロボットによって施工する枯山水と宇宙文化の計画です。 1968年のアポロ8号の月までの飛行から半世紀が経った現代でも、宇宙開発において月面基地は常に掲げられる大きく遠い目標です。居住空間の建築という高度な施工に向けた中間の目標として行う、比較的簡易的な施工実験として月面枯山水を計画しました。 月に施工を行うロボットを送り込み、施工後は中央の着陸船に取り付けられたカメラから周囲の光景を地球に送り続けます。 リアルタイムの月から見える地球の姿を観て、人々は何を思うのでしょうか? 宇宙開発は科学的な価値以上に、その社会的、人類史的な意義などが求められる傾向があります。半世紀前の冷戦、宇宙開発競争はまさに、二国間の人類史上の成果を競うものでした。現代は冷戦も終わり、宇宙開発ベンチャーや様々な国家が宇宙開発に乗り出し始めています。 これからは科学的な発展にのみならず、文化としての宇宙を作る時代だと感じます。 日本文化を宇宙文化にも融合させ、一つの円を振り返り観る事を続ける事が出来る。対立の意味をなさない視点を世界で共有する文化を作る。そのためのプロジェクトです。

審査員コメント

  • 環境・建築の素養を背景にスペキュラティブ・デザイン的なアプローチを試みる意欲的な作品。作者の定める作品ジャンルは「宇宙計画・造園設計」であり、宇宙・建築・文化人類学・禅芸術と多岐にわたる作者の好奇心が、荒削りな面を含みつつも一つの計画提案として結実している。
    枯山水というモチーフや、Webサイトという情報重視の形態でアウトプットした理由が少々気になった。アウトプット様式については、膨大なリサーチの結果をより端的に伝達しやすい媒体の可能性が他にあるようにも感じる。『模型と月と地球の5億分の1模型を屋外に設置したインスタレーションの展示』をかつて発表されていたとのことなので、そちらも応募資料に含んでいると評価がより高まった可能性もあるし、構想されていたロボットのプロトタイプが実現されるとより説得力が増すかもしれない。本質的にスペキュラティブデザインはある種「絵空事」としても捉えられるのが弱みではあるので、いかに実現度を高めリアリティを担保し世の中に訴えかけるかが課題。とはいえ、都市・環境・テクノロジーが複雑に影響しあう社会状況や、万博を控えた今後のシーンを鑑みるに、今後5年〜10年で国内外でどんどん需要の増えていきそうな人材だと感じる。多岐にわたるリサーチをまとめあげる根性やパワーにも期待。分野外のコンペティションに応募を試みた作者の意欲性やマーケティング感覚も良い。熱量は保ったまま表現の独自性とクオリティは向上させ、今後もメディアアートの世界に道場破りとして乗り込んでほしい。僭越ながら「黒石さんが今後めちゃくちゃ売れる」にベットしております。

    市原 えつこ メディアアーティスト/妄想インベンター
  • 宇宙空間を使ったスケールの大きさと月面上での枯山水の庭園というシチュエーションが美しく魅力的。プレゼンテーション映像もシンプルながらもクオリティが高く、コンセプトの魅力が十分伝わった。現実として、どこまで内容として妥当なのかは判断ができないが、非常に想像力を掻きたてる興味深いものであった。

    大塚 康弘 ディレクター/株式会社デジタル・フロンティア