ケアンの首達

アニメーション|2018

副島しのぶ

東京藝術大学

 若くして亡くなった子供が行き着くかもしれない死後世界。行き着く先は、喜びも悲しみもない天国と地獄の狭間にある世界であり、それは”賽の河原”や”幼児の辺獄”など、様々な宗教に共通して存在している。主人公は、早くに亡くなってしまった事への罪悪感がありながらも、いつからその地にいるのかも、なんのためにいるのかも、その未練の正体もわからずにいる。地面に眠る数多の首を弔う作業は、まるで賽の河原で子供達が積み石(ケアン)の塔を作るように、どこまでも果てしなく続いて行く。  本作は、空っぽの壁龕が密集する巨大なドームの中で、孤独に自らの首を探し続ける子供の一枚の絵を描いたところからはじまった。その巨大なドームはどこか万仏窟のように、何千体もの壁龕に収められた仏様がいる石窟を彷彿させるようで、しかし、この世界の壁龕の穴は空である。地面の下に埋まった鳥たちは全て本物の鶏の首が使われており、それらは主人公の未練の数だけ存在する亡者たちである。どこまでも続く作業の果てに、主人公は自らの首を発見し、彼のケアン(積み石)はついに完成する。

審査員コメント

  • まずやたらに生々しい鳥の首に意識が持っていかれ、本物の鳥の頭を使用する等の制作手法に驚かされました。
    そこから伺えるセットの規模等、情熱と苦労が伺えます。
    生の素材を使用している事も、奇をてらう印象より作品の生々しい雰囲気作りに大きく貢献していると感じました。
    全体を通したカメラ、構図や時間経過による汚れ、ライティングにより作り出される雰囲気等、しっかりとした技術や工夫も見られ
    制作された御自身のコメントにも大いに納得です!
    音響を含め、そこはかとない宗教観を感じさせる独自の「世界観」を作り出す事に成功していると思います。

    齋藤 和丈 評価員