watage

インタラクティブアート|2018

(euglena)

多摩美術大学

ART DIVISION GOLD

ENTERTAINMENT DIVISION SILVER

私も世界も目まぐるしい速さで変わる中、ゆったりと佇み生きる植物の世界に引き込まれた。 派手なテクノロジー表現の急速な進化に引けを取らない新しい表現とは、何だろうか。日々、壮大な刺激を浴びる中で、感覚を研ぎ澄まされる細やかな刺激が今必要だと考える。 コンセプト 手のひらに乗せても感知出来ない重さの綿毛。 その集積であるwatageは今まで鑑賞者が知覚していなかった微かな大気の流れを見せる。 儚げなwatageはいつまで揺れ続けるのか。 いずれこの作品が朽ちた時、土に植えまた芽吹く日を夢見る。 電気を使わず人の動きに反応するインスタレーションを作る理由は、今までのインタラクティブアートのような人工的原動力ではなく、自然発生した原動力を使うことに意味を見出しているからだ。鑑賞者の動きや呼吸によって発生した微かな大気の流れにwatageは反応する。テクノロジーを通さず、視覚化された周囲への影響は、無垢に自身の存在を再認識させる。

審査員コメント

  • (euglena)さんは的確な言葉と美しい映像でこの作品を紹介する。鑑賞者に「いったいこれは何?」「どうなっているの?」「どうやって作ったの?」と、その場で作品と向き合い「体験してみたい」気持ちを誘発する。watageは電気を使わず人の動きに反応するインスタレーションだ。
    手のひらに乗せても感知出来ない重さの綿毛。その集積であるwatageは、今まで鑑賞者が知覚できなかった微かな大気の流れを見せる。作者は揺れつずけるwatageがいずれ朽ちた時、土に植えまた芽吹く日を夢見る。ゆったりと佇む生きる植物と時間をかけて対話しながら制作する作家の姿勢が清々しい。
    インスタレーションとは、場と作品を通して鑑賞者の五感を刺激し、作家の思考や発見を追体験することだ。そのことを(euglena)さんは「テクノロジーを通さず視覚化された周囲への影響は、無垢に自身の存在を再確認させる。」と言う。極めて繊細で日本的なこの感性で、インスタレーション・アーティストとして世界に羽ばたいて欲しい。

    陣内 利博 審査員
  • 自然の素材に作家の感性と現代の技術を用いて、再構築したインスタレーション作品。残念ながら審査の過程でインスタレーションそのものを体感する機会は設けられなかったが、自然ではない空間に於いても自然の繊細さや儚さが、寧ろ増幅されるような感覚を覚えた。審査は限られた条件下で行わざるを得ないので、このようなコンテストに於いてインスタレーション作品は元来不利な状況にある。その意味で、本作の魅力を強く訴求したプレゼンテーション映像も評価したい。表彰イベントにて本作を実際に体感できることを心から願う。

    塩田 周三 審査員