隣の窓辺

インスタレーション|2017

鹿野 洋平

東京藝術大学大学院

ART DIVISION SILVER

作品Webサイトhttp://shikanoyohei.tumblr.com

本作は、視覚のメカニズムを空間に可視化するメディア・インスタレーションである。暗い展示空間の壁3面に映像が大きくプロジェクションされ、眼球の表面に映り込むシンプルなアニメーションのイメージが展開されていく。眼球は、モニターの中の動く対象を追いかけ、まるでそれに操られているかのように連動して筋肉を動かしていく。この動く対象に連動してしまう眼球運動の要素を用い、「視ることを視る」ような映像イメージの生成を試みた。人間の視覚とは、対象に対し個々人が差異を持ちながら運動し、時間をかけて光を受容し続けていくプロセスであるとは言えないだろうか。本作は鑑賞者が作品空間内に入ってから、徐々に作品の構造を把握していく構成となっている。つまり、鑑賞者は、自分自身の両眼で他者の両眼に映り込むイメージの断片を連続的に繋ぎ合わせるプロセスを踏むことで、空間内で視覚運動のアレゴリーを経験することになるのである。

審査員コメント

  • 冒頭、不安定に明滅する光の点は、何を表しているのか最初の段階ではわからない。映像がだんだんとはっきりしたものにかわり、それが目に映ったモニターの映像であるとわかった途端、私たちは何を見ているのか、私たちの目には何が映っているのか、私たちが見ているものは他の人が見ているものと同じなのか、視覚や見ることについての様々な疑問が浮かんでくるような映像の構成が、面白かった。映像が3面に映し出されたコの字型の空間で作品を体験するスタイルも、自分が見ているようでいて、実は映像の目に見られているのかも、と、見ることを意識させて、テーマに合っていた。

    久納 鏡子 アーティスト