PLAY A DAY

パフォーマンス|2017

おおしまたくろう

情報科学芸術大学院大学

ART DIVISION GOLD

作品Webサイトhttp://oshimatakuro.tumblr.com

僕はこのパフォーマンスを現代社会に蔓延する「社会の不寛容」をマッサージするために制作しました。社会の不寛容とは、社会全体が自身とは異なる在り方(すなわち「他者」)を認めない・想像できないことです。身近なところで言えば、ネットの炎上による特定個人への暴力や、社会全体としては異なる人種への差別・ヘイトスピーチなどが挙げられます。僕はこうした他者への想像力の欠如に対して、ジャック・アタリの著書『ノイズ 音楽/貨幣/雑音』より「新しい楽器が多かれ少なかれ、雑音という性格をもつのは、このためである」という言葉を引用して、「新しい楽器の制作と演奏によるノイズの提示」という手法を用いてアプローチします。ここでの「ノイズ」とは世の中のアタリマエから外れたものを指します。パフォーマンスを通して、少し不思議な楽器たちの奏でるノイズがみなさんのアタリマエをマッサージすることでしょう。

審査員コメント

  • コンピュータ1台でノイズミュージックを奏でる代わりに、作者は1ヶ月間、毎日作ったという楽器を使って様々な音を生みだす。日常品で作られたこれらの楽器は、1つ1つに個性があって、イレギュラーな動きをしても、それがユーモラスに見えた。また、おもちゃの電車とレールの切替えを操作する様子は、音とモノの関係が非常に合っていて、パフォーマンス全体にいい緊張感を生みだしていた。これらの楽器達を見ていると、ノイズとは何か、ということも考えさせられる。作者は作品説明の中で、音としての”ノイズ”と社会の異分子としての”ノイズ”を重ね、”ノイズ”を魅力に変換するための”笑い”、つまり一種のユーモアについて述べている。このパフォーマンスの楽器や音は多様で個性的で、意図した通りに魅力を感じさせるところも評価した。

    久納 鏡子 アーティスト
  • 「1ヶ月間、毎日1つ楽器を作る」というルールのもと、身近なモノを素材に様々な楽器を制作し、それを作者自身が演奏するパフォーマンス作品。ユニークな仕掛けから発せられるノイズ音はそれだけでも魅力的ではあるが、それ以上に、それらを黙々と演奏する作者の姿に惹きつけられた。各楽器から発せられるノイズにもう少しバリエーションが欲しい気もしたが、このわずかな違いを楽しんでいるところに、作者のノイズに対するこだわりを感じることもできた。

    大山 慶 プロデューサー/株式会社カーフ代表取締役