Agape

グラフィック|2017

高橋 梨沙子

東北芸術工科大学

作品Webサイトhttps://vimeo.com/pkpk7

現在において映像は技術としての進歩の一方で、思想が置き去りになっていると思う。アートについて考えたとき、私は刹那の中で楽しむのではない、時間をかけて楽しむ作品があっても良いと考えたい。長い拍のなかに美しさを見るというのは、美術館のような大きな空間のなかで、絵画をじっくりと見る時間に実に似ている。想いを巡らせ、解説をじっくりと読み、自分なりの回答を見つける映像でありたい。作中に出てくる脚は私自身である。私は女の子の脚をこよなく愛している。脚は性の象徴でもあり、生の象徴でもある。冒頭に詩が現れる。これは率直な”愛”という曖昧な言葉への回答である。”どうか優しさにあってほしいどうか哀しみを捨ててほしいどうか独りはなくしてほしいどうかこの手を掴んでほしいたったこれだけでわたしはわたしの幸せに近づけるほど馬鹿で仕方ない”私はただ、愛が欲しかった。私は作品を愛して、作品にも愛されたかったのだ

審査員コメント

  • もし画像や映像を思い描く状態に変換するならば、既存のフィルターでは成し得えず、秩序から設計による自身のフィルターが必要となる。本作はそのように思っていた私を一喝した。本作ではフレーム毎に作者の感性に従ってフィルターのパラメタを変更し適用している。そのスタイルは、ペンの太さや硬さを変えながら描く行為となんら変わらない。既存のフィルターを用いながら、そのフィルターが絵筆となっていた。

    藤木 淳 アーティスト・表現研究