未//明

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グラフィック|2016

濱口 一成

大阪府立今宮工科高等学校

審査員コメント

  • 20世紀初頭に再評価され、19世紀ドイツのロマン主義の代表的な画家と知られる、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ(1774-1840)。この作品の構図と色彩には、フリードリヒの作品、例えば、《The Wanderer above a Sea of Fog》 (1818)や《The Sea of Ice》(1823-4)、《Rocky Reef on the Sea Shore》(1824)などを連想させるところがある。作者がフリードリヒの作品を参照したのかどうかは確かではないが、是非(もう一度)フリードリヒの作品を見てほしい。自然/外部世界と対置する孤独な人間の実存、そしてその人間の生への意志という主題意識が伝わるためには、人物の描写にもう少し力を入れる必要があるのでは、と思うからだ。とはいえ、この作品は、いかなるイメージも「画像」にしてしまうpixiv越しの静止画作品を審査する状況だからこそ、突出して「絵(画)」として目に入ってきた。しかし、この作者に絵画作品の「画像」検索を勧めているいまの状況は、一体何を意味しているだろうか。

    馬 定延(マ・ジョンヨン) メディアアート研究・批評