小屋

アニメーション|2015

宮嶋 龍太郎

東京藝術大学大学院

作品Webサイトhttp://miyajimaryotaro.com/

本作「小屋」は微視的な視点から出発して制作したものと言える。人生の一つ一つの出来事をミクロな視点で捉えれば、確かにそれらは一回性であり一種の事件の連続であるが、巨視的に全体を見渡せば、大きな流れの生活がある。主人公にとって、鳥の化身が訪ねてきた事すらも些細な事でしかない。坦々と生活を続け、何事も無かったかのように籠を背負い、大木の森を進み、今日も転寝をするのだ。「小屋」というタイトルは、この生活の場の強さを表している。人間社会では個人は喧騒に巻き込まれ、生や死が人間に示唆していること感じる時間を奪う。気がつけば老いた体だけ残されて、死を恐れるしかない状況に現代人を追い込んでゆく。私のアニメーションの主人公の多くは1人であり、人生の孤独、人が生まれ死んでゆく事とは何かという問いを日常の中でする事で、生きることや死ぬことを恐れる必要はないのだと私自身に言い聞かせるためかもしれない。

審査員コメント

  • 可愛らしいキャラクターが牧歌的な雰囲気の中で物語が展開していくアニメーションです。水彩画でキャラクターと背景を作成しているため、どこか本作品の世界観でもある日本的な世界にマッチした雰囲気になっていると思います。細かい書き込みはされていなく荒々しさが目立ちますが、画面構成やアニメーション自体も大胆な部分があるので上手く相乗効果が出てスッキリと見せる事に成功しています。

    小村 一生 プロデューサー/ワンオアエイト
  • 古くから語り継がれてきたかのような物語。主人公の住む「小屋」や、主人公が出会う「鳥」がメタファーとして想像を駆り立てられた。些細なアニメーションからは生活観を感じることができ、そのことが作品をより身近なものとしている。

    堀口 広太郎 プロデューサー/グラフィニカ