かたすみの鱗(Scutes on my mind)

アニメーション|2015

石谷 恵

東京藝術大学大学院

「頭の片隅で鱗が光り、記憶の発掘を始める。迷子になった博物館で出会った館長は、どんな人だったろう。」私たちは研究者の目を通してでしか恐竜のことを知ることは出来ない。過去に少しでも関わり小さな支えを残してくれた人のことを思い出すとき、朧げだったその姿は私の目を通し、真実ではないが自身にとっての本物の姿となる。記憶の欠片をつなぎ合わせ、朧げながらに姿を描き、その人に思いを馳せる行為は発掘と似ている。

審査員コメント

  • 博物館での思い出を探る女性。恐竜と共に思い起こされる遠い日の記憶。少女と館長の語らいから、よみがえる恐竜たちの世界。思い出を掘り起こす、ささやかな記憶の旅に、ただ感動しました。

    堀口 広太郎 プロデューサー/グラフィニカ
  • ごく個人的だけど、ふと思い出した自分の過去と重なった。探り当てるように頭の中で記憶を手繰り寄せて、あの時の情景を思い浮かべた。この作品にはそんなパワーがあった。ザラッとした質感だけど柔らかな色合いとタッチで描かれたアニメーションが、主人公の繊細な思い出を壊さないように、大切に表現していて、すーっと物語に引き込まれる。全体のストーリー構成も、作画もかなりレベルが高い。6:00~からのシーンは、必見。あの時の彼女と、今の彼女をつなぐ、成長を表現したこのたった30秒ほどのシーンで、僕の心はグッと鷲掴みにされた。

    柳 太漢 インタラクティブディレクター/博報堂アイ・スタジオ