子供の特権

映画|2014

関根 唯

東京藝術大学大学院

審査員コメント

  • 子供にだけ許された事や、子供にしか出来ない事というのは確かにある。それは、親や大人にとっての「まだ子供だから」というような、予定調和的で理想的な「子供性」の投影でもあるし、子供が、自身に投影される「子供性」から脱して大人になろうとする、練習のような行為でもあると思う。そうした2つの投影と行為の重なり合うところに「特権」があるのかもしれない。この作品に登場する、大人には見えない人形遊びや、タンスを世界を操作する特殊な装置に見立てた遊びは、親の目の届かないところに自分だけの世界、あるいは自分だけの世界の捉え方を構築するような、自立すること、大人になることへの自然な欲求の現れなのだと思う。けれど、時間を経て実際に大人になってしまうと、もうおまけのコロッケはもらえなくなるのだ。もしかして、大人になるということは、自分に自分でおまけのコロッケを買ってあげる事なんだろうか。自分が子供である事を許してくれる大人は、もう自分しかいないのかと思うとすこし寂しくなる。

    谷口 暁彦 作家
  • 澄み切った映像で描かれた、童心が傷つく瞬間。老婆心ではあるが、現在子供である子役たちのことが気にかかった。作者は自分の中にしこりの様に存在していた「ファンタジーを信じることが許されるという子供の特権を母親に奪われた出来事」をこの短編映画を通して昇華させたかったという。童心を特権として記憶することは、大人の特権かもしれない。

    馬 定延(マ・ジョンヨン) メディアアート研究・批評