世界の解像度

グラフィック|2014

松原 由幸

名古屋大学大学院

審査員コメント

  • 作者が白紙がなぞっていった深夜の空気感が脳内で再生されていくかのようだ。息づかいまできこえてきそうな気がする。何の変哲もない白い紙でさえ、これほどまでの豊かさを内包していることに驚かされる。それと同時に、これはしんどいよな、とも思う。白い紙を白い紙として受け取れないとすれば、休息はどこに存在しうるのだろう? そんなことを考えると、またスマートフォンの光り輝く画面を見て、頭のなかをホワイトアウトさせたくなってくる。本当の静寂とは果たして何なのか、考えてしまう。

    土居 伸彰 アニメーション研究・評論
  • 「人間が70億人いれば、見ている世界は70億通り。凄く豊かなことだと思います。」普段生物学の研究をしている作者は、研究者によって「見えている世界」が異なるという事実に興味を持ち、認識の変化によってその世界が変わっていく体験をこのように表現した。ここから見てほしいのは、思索の時間。絵は、大きくても小さくてもその痕跡にすぎない。作品制作と研究が、自分の世界の見方を他者に伝える方法であるだけでなく、それ自体、生きる方法となる理由はここにある。

    馬 定延(マ・ジョンヨン) メディアアート研究・批評