ヨコとか下とか

インスタレーション|2014

小林 椋

多摩美術大学

審査員コメント

  • この作品で作者は「なんでもない音」を「能動的な「聴く」行為によって分節化されていない状態の音」とし、そうした音を発する「装置」を制作、コンポジションした。ひとつひとつの装置が発する音と、装置の動作の小気味よさがとても魅力的な作品になっている。それぞれの装置の形態や構造も、ミニマルさの中にユーモラスもあり、そうした作品の魅力に繋がっているようである。が、かえってこの装置の特殊な形態が「なんでもない音」というコンセプトとはかけ離れ、装置自体はむしろ「なにかである」ような形態で、その意味や役割を積極的に考えさせるものになっているように思える。この「なんでもない音」と「なにかである装置」の隙間が少し大きく、この隙間を何かの事物や構造で充填するべきなのか、むしろ隙間は開けっ放しにしておくべきなのかは悩ましいところ。

    谷口 暁彦 作家
  • 音を出す機械の造形のユニークさにとにかく眼を奪われた。その後作者のコメントを読んでみて、ちょっと考えてしまった。眼で見ることができるユニークさのバリエーションのほうが、音に聴き取ることができるそれよりも、豊かに感じてしまっていたからだ。でもそれは、僕自身の耳の貧しさによるものかもしれない。耳のレッスンというのは、でも、あまり受ける機会はないよなとも思った。この作品がそのレッスンを提供してくれるというのであれば、真摯に耳を傾けねばならない。

    土居 伸彰 アニメーション研究・評論