PanelVi’

パフォーマンス|2014

灘 風人 関 耀

武蔵野美術大学

審査員コメント

  • これまで、多くのアーティストがマイクとアンプ、スピーカーを組み合わせてフィードバックを起こし、そこから生まれるハウリング音をパフォーマンスやインスタレーションに用いてきた。ハウリングの周波数は、マイクやスピーカーの音響特性と、それらが置かれている環境で決まるため、あまりダイナミックにその周波数を変化させる事は出来ない。このPanelVi’という作品/楽器では、そうした、ダイナミックにハウリングをコントロールするという問題をシンプルに解決している好例だと思う。マイクとギターアンプの間に1枚の板を挟み込み、マイクが板に触れる事でハウリングを起こしているのだが、スピーカーによって振動する板を介してハウリングが起きているので、弦楽器のように、板をマイクで押さえる位置によってその振動する周波数が変化しているのだ。たった1枚の板が間に挟まっただけなのだけれども、これによってかなり豊かな音色が生まれている。かなり大きな板を使用しているので、寝かして使用せずに、立てて使用したほうが空間的に豊かになりそうな気もする。古典的な表現の延長にある作品だけれども、様々な可能性がまだある手法だと思うので、他のアーティストとのセッションなどの経験を重ね、この楽器の演奏を突き詰めていってほしい。

    谷口 暁彦 作家
  • シンプルなセッティングのなかで生起する何かをアンプリファイしていく行為というのは、基本的にとても感動的なことである。「何もない」ように見えたり聞こえたりする場所には、気づかれなかった豊かさがあるということだから。そして、それを聴き取って、人に伝えることができる人がいるということだからだ。面白いのは、そんなことを思いつつも、この映像自体が強く連想させるのが、ジミ・ヘンドリックスとか、エモーショナルなノイズを出す古典的なギタリストの姿だったことだ。古いから悪いと言いたいわけではなくて、この作品は、日常に違う次元を呼び込む祈祷師や霊媒師などのオカルト的なものと通じるところがあるんじゃないかと考えたということである。プリミティブな電気の力。

    土居 伸彰 アニメーション研究・評論