TRUSTLESS LIFE

TRUSTLESS LIFE

インタラクティブアート|2018

加藤 明洋

情報科学芸術大学院大学

PARTNER AWARD

作品Webサイトhttps://trustless.life/

作者Webサイト http://4545.jp/

現代社会が抱える無力感、閉塞感は私たち自身のコントロールが私たちに与えられていないことに起因する。決められた暗黙のルールや同調圧力、出る杭は打たれるといった多様性を認めない社会がこの先も続くのだろうか。 私は物心ついた頃から存在しているインターネットに大きな期待を抱き、その延長に生まれたブロックチェーン技術が社会を大きく変えるものだと感じている。そしてブロックチェーン技術は、不完全な民主主義から私たち自身へのコントロールを取り戻し、多様な生き方を自然に実現する社会への可能性を持っていると信じている。 あらゆる契約をコードとしてのせ、主体なく実行できるプラットフォームとしてのブロックチェーンが社会の基盤となったとき、私たちの生活はどのようになっているのだろう。その体験したことがない想像が難しい社会を、「人生ゲーム」の形で疑似体験することで、その未来の可能性と課題を考える機会を作りたいと考えた。 現代ではまだ想像できないけれど、もしこんな仕組みがあったら実現するといった、今の社会の延長にあって枝分かれした1つの可能性を描き体験することで、この技術の重要性を体験から感じてもらいたい。

審査員コメント

  • ブロックチェーンを題材に深いところまで考えられているゲームですが、デザイン面が非常によいと感じました。フラットなゲーム盤、シンプルなカード、スマートフォンも利用されていますし、アナログとデジタルを上手に融合させた知的なゲームであると思います。(センスよくまとまっている分だけ逆にとっつきづらいと感じる人もいるかも知れませんが…)今回は動画のみで判断している所もあるので、実際に遊んでみてどのくらいハマるかも見てみたいと感じました。紹介動画自体も丁寧に作られていて良く出来ていると思います。

    井口 晃慶 クリエイティブ部 グループマネージャー/KLab
  • ブロックチェーン技術は未だ一般的には難解で、社会に実装しきっていない技術であるが、「仮想通貨」とともにその単語だけがバズワードとして蔓延、消費されてしまい、2017年12月に通貨の相場がピークを迎えている。本作は、バブルが崩壊した2019年現在だからこそ、ブロックチェーンが持つ本来の意義や有用性を再度広めるために、実際に社会の中で、教育的娯楽として高い威力を発揮するのではないだろうか。そのことを感じさせる要因として、ルールブックに見られる細かなゲーム設定や、アプリとの連動、そして論文の執筆と、非常に緻密な研究と設計が成され高い完成度を実現しているようみ見える。あとはこのゲームを実際にプレーして、最終的な評価を下したい。果たしてブロックチェーンは、不完全な民主主義を乗り越えるための手段になり得るのか。

    やんツー 美術家