ミヨの半生 アニメーション|2016 関口 和希 東京藝術大学大学院 ART DIVISION GOLD 作家についてのお問合せ 審査員コメント とてもしなやかで柔らかい絵の世界は、ファンタジーな作品なのか?という印象を一瞬受けるのだが、作者の分身であるウサギがイジメにあったり、失恋したり、リアルな心の痛みが伝わってくるエピソードが淡々と語られ、その表象とストーリー内容の温度差、ギャップに驚きがあり、イメージとストーリーがダブルバインド関係にありながらも、不思議と救済される魅力がある。タイトルになっている「半生」という言葉は一生の半分という意味以外にも、生きるか死ぬかの分かれ目という意味があるそうで、「自分は孤独死するタイプだと思っていた~」という絶望から始まるこの作品は、半死半生の中で生き続ける現実の過酷さ、残酷さを暗示している。現実は日々、人を厳しく晒し、問い正し続けるようだ。ミヨのように命からがらも生き延びて、人生は続く。 寺井 弘典 クリエイティブディレクター/P.I.C.S./多摩美術大学特任教授 何の邪心もなくトボけているところがどうしようもなく魅力的に思える。半生を振り返るといいながらエピソードが少なすぎたり、時間がかなり飛んだり、小道具のチョイスがとても不思議だったり……しかし、そういったものが与えるゴツゴツとした引っかかりがとてもリアルさを生み出している。たぶん、人が人生を振り返るときに作り出すひとつの物語というものは、このように偏っているものなのだろう。その素直さが胸を打つ。 土居 伸彰 アニメーション研究・評論 独特の世界観とストーリがとても面白かった。日常にあふれる感慨をしみじみと伝えてくれており、作品が持つ人への愛情が伝わてきた。技術的な要素よりも作品性がストレートに感じられることも非常に良い。 堀口 広太郎 プロデューサー/グラフィニカ 2020 2019 2018 2017 2016 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2015 2014
とてもしなやかで柔らかい絵の世界は、ファンタジーな作品なのか?という印象を一瞬受けるのだが、作者の分身であるウサギがイジメにあったり、失恋したり、リアルな心の痛みが伝わってくるエピソードが淡々と語られ、その表象とストーリー内容の温度差、ギャップに驚きがあり、イメージとストーリーがダブルバインド関係にありながらも、不思議と救済される魅力がある。タイトルになっている「半生」という言葉は一生の半分という意味以外にも、生きるか死ぬかの分かれ目という意味があるそうで、「自分は孤独死するタイプだと思っていた~」という絶望から始まるこの作品は、半死半生の中で生き続ける現実の過酷さ、残酷さを暗示している。現実は日々、人を厳しく晒し、問い正し続けるようだ。ミヨのように命からがらも生き延びて、人生は続く。
何の邪心もなくトボけているところがどうしようもなく魅力的に思える。半生を振り返るといいながらエピソードが少なすぎたり、時間がかなり飛んだり、小道具のチョイスがとても不思議だったり……しかし、そういったものが与えるゴツゴツとした引っかかりがとてもリアルさを生み出している。たぶん、人が人生を振り返るときに作り出すひとつの物語というものは、このように偏っているものなのだろう。その素直さが胸を打つ。
独特の世界観とストーリがとても面白かった。日常にあふれる感慨をしみじみと伝えてくれており、作品が持つ人への愛情が伝わてきた。技術的な要素よりも作品性がストレートに感じられることも非常に良い。