まゆみ アニメーション|2016 谷口 ちなみ 東京藝術大学大学院 ART DIVISION GOLD 作家についてのお問合せ 審査員コメント 私は、いつから自分の名前を自覚しただろうか?物心がつく前から、両親に繰り返し呼ばれ続けることによって、名前を自分のものだと認識するようになっていったのだろう。辞書的な「固有の名称」という意味だけではなく、名前には名付けた人の想いが込められている。繰り返し呼び続けて名前を根付かせることは、呪術的であり、そういう行為によって人は自分の名前を自覚していく。そして、その想いと共に人は一生を送っていく。 水江 未来 アニメーション作家 以前の作品で描かれる少女たちの世界は、イラスト的な平面世界に展開され、煌めきを放っていた。しかし、アニメーションらしい奥行きを獲得した今回の作品が感じさせるのは、少女が少女の世界に棲まうことの圧倒的な閉鎖感だ。「まゆみ」という声がその空間に投入されるたび、閉じ込められたその世界で声は永続的にエコーし、反復し、さらにその閉鎖性を高めていく。この出口のなさが、まるで怪物の誕生を見るかのような恐ろしさを感じさせる。 土居 伸彰 アニメーション研究・評論 2019 2018 2017 2016 アート部門 エンターテインメント部門 パートナー賞・ナレッジ賞 2015 2014
私は、いつから自分の名前を自覚しただろうか?物心がつく前から、両親に繰り返し呼ばれ続けることによって、名前を自分のものだと認識するようになっていったのだろう。辞書的な「固有の名称」という意味だけではなく、名前には名付けた人の想いが込められている。繰り返し呼び続けて名前を根付かせることは、呪術的であり、そういう行為によって人は自分の名前を自覚していく。そして、その想いと共に人は一生を送っていく。
以前の作品で描かれる少女たちの世界は、イラスト的な平面世界に展開され、煌めきを放っていた。しかし、アニメーションらしい奥行きを獲得した今回の作品が感じさせるのは、少女が少女の世界に棲まうことの圧倒的な閉鎖感だ。「まゆみ」という声がその空間に投入されるたび、閉じ込められたその世界で声は永続的にエコーし、反復し、さらにその閉鎖性を高めていく。この出口のなさが、まるで怪物の誕生を見るかのような恐ろしさを感じさせる。